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生活管理RESIDENCE

宅建業法改正で「宅地建物取引士」へ名称変更

2014/6/24

不動産売買の専門家として消費者の利益を保護するとともに中古住宅の円滑な流通を促進するため、「宅地建物取引主任者」を「宅地建物取引士」の名称に改める改正宅地建物取引業法が、6月3日の衆議院本会議の可決を経て、6月18日の参議院本会議で可決、成立しました。改正法は公布後1年以内に施行され、来年度から新制度が発足することになりますが、設置義務や試験などについては従来の宅建主任と同様で変更はない見込みです。

宅建主任の事実上の格上げが実現

改正宅建業法は、議員立法として準備が進められ、5月30日に衆議院国土交通委員長から第186回通常国会(2014/1/24〜2014/6/22)に提出されていました。

今回の改正では、これまでの「宅地建物取引主任者」が「宅地建物取引士」に格上げされたかたちで、宅地建物取引士は宅地・建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護と円滑な宅地・建物の流通に資することが義務づけられられました。

改正の背景として、1957(昭和32)年に創設された宅地建物取引主任者制度による重要事項説明が、その後の法令改正等により複雑化してきたことが挙げられます。たとえば、建物のアスベスト使用調査がある場合にはその内容についても説明する必要があるなど必要とされる説明事項が増加し、宅地建物の安全な取引のために欠かせない宅建主任の責任は増大しています。

また、欧米諸国に比べて日本の全住宅流通に占める中古住宅の割合は低く、中古住宅流通のより一層の円滑化を図るためには、消費者が安心して不動産取引を行うことができる環境整備が重要です。このため、宅建主任が中心となって、リフォーム会社や瑕疵(かし)保険会社、金融機関などの関係者と連携した、中古住宅流通の“ワンストップサービス”の実現が求められていました。

「法律案要旨」によると、今回の改正の概要は次のとおりです。

●「宅地建物取引主任者」を「宅地建物取引士」の名称に改める。

●宅地建物取引士は、宅地建物取引業の業務に従事するときは、宅地または建物の取引の専門家として、購入者等の利益の保護および円滑な宅地または建物の流通に資するよう、公正かつ誠実にこの法律に定める事務を行うとともに、宅地建物取引業に関連する業務に従事する者との連携に努めなければならない。

●宅地建物取引士は、宅地建物取引士の信用または品位を害するような行為をしてはならないとともに、宅地または建物の取引に係る事務に必要な知識および能力の維持向上に努めなければならない。

●宅地建物取引業者は、その従業者に対し、その業務を適正に実施させるため、必要な教育を行うよう努めなければならない。

●宅地建物取引業の免許および宅地建物取引士の登録に係る欠格事由に暴力団員等であることを追加する。

なお、公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(伊藤博・会長)は、法律案が参議院で可決した6月18日、「法案が設立したことは、誠に喜ばしい」とする全宅連会長コメントを発表し、「今後宅地建物取引士として社会的地位が向上するため、我々としても倫理規定や研修によりコンプライアンス意識の向上と専門的知識の習得により一層努める」と抱負を述べました。

(編集部)




バナースペース

図版 CHART

文書1: 「宅地建物取引業法の一部を改正する法律案(衆第二六号)要旨」(出典: 参議院のホームページ「第186回国会(常会)議案情報」)

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文書2: 「宅地建物取引士」名称変更に係る宅地建物取引業法の一部を改正する法律案成立に関する伊藤会長コメント(出典: 全国宅地建物取引業協会連合会のホームページ

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