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維持管理MAINTENANCE

機械式立体駐車場の安全対策ガイドライン

2014/4/15

国土交通省は、「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」を策定して公表しました。機械式立体駐車場に関わる製造者、設置者、管理者、利用者が、まず早期に取り組むべき事項をまとめたもので、関係団体等への通知で安全対策の強化と適正利用の周知を図ります。また、地方自治体に対しても、機械式立体駐車場の安全設備等に関する実態調査の実施について要請を行う予定です。

重大事故の5割はマンション駐車場で発生

機械式立体駐車場は、都市部における駐車場所提供という都市機能の一端を担い、商業施設の駐車場や高層マンション居住者用の自動車車庫としての導入が進んできました。

一方、2007(平成19)年度以降、一般利用者等の死亡・重傷事故が少なくとも26件発生し、児童が亡くなる痛ましい事故も発生しています。

国交省では、機械式立体駐車場の安全性の一層の向上を図るため、2013年11月、「機械式立体駐車場の安全対策検討委員会」(座長:向殿政男・明治大学名誉教授)を設置し、検討の成果を報告書にまとめました。

同報告書は、機械・設備を安全に設計して(技術的側面)、残されているリスクに意識しながら人間が注意して使い(人間的側面)、それらが正しく行われるように管理、基準、組織、制度等の体制を構築する(組織的側面)という、おもに三つの側面から安全対策のあり方について議論した結果がまとめらています。

報告書によると、2007 年6月から2014年1月に発生した事故は207件あり、発生場所が確認できた145 件のうち、約4割がマンション駐車場で発生しています。また、利用者が死亡・重傷に至った重大事故26件のうち、マンション駐車場で発生したものは5割を占め、利用者が自ら操作するケースでの事故が多いとしています(公益社団法人立体駐車場工業会調べ)。

報告をうけて、国交省は安全対策に関するガイドラインを策定しました。マンション管理組合が関係する「管理者の取り組み」には、次のような事項が掲げられています(一部抜粋)。

●利用者に対して、正しい操作方法、注意事項の遵守などの書面での説明等を徹底すること。また、これらに関する説明等を受けた者に対して利用を許可すること。

●「無人確認」等の注意事項は、常に利用者が見やすい位置に表示すること。

●装置の安全確保のための維持保全を行うこと。装置が正常で安全な状態を維持できるよう、機種、使用頻度等に応じて、1〜3か月以内に1度を目安として、専門技術者による点検を受け、必要な措置を講じること。

●事故等に備えて対処方法を定めておくこと。また、事故等があった場合には、警察、消防のほか、製造者、メンテナンス業者、設置の届出を行った都道府県知事等にすみやかに連絡し、記録を残すこと。

●上記事項を確実に実施するため、管理責任者を選任するとともに、装置の視認しやすい場所に、管理責任者を明示すること。また、具体的な実施方法等について文書に定め、利用者等が閲覧できるようにすること。

今回公表されたガイドラインは簡素なものですが、国交省では引き続きガイドラインの改善を進め、適宜公表する予定としています。

(編集部)




バナースペース

図版 CHART

文書1: 国土交通省「機械式立体駐車場の安全対策のあり方について報告書」。写真は、機械式駐車装置の出荷・設置台数の推移(出典: 2014年3月28日付け国土交通省報道発表資料)

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文書2: 国土交通省「機械式立体駐車場の安全対策に関するガイドライン」(出典: 同上)

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